私の多重人格はドラマティックじゃない
私の多重人格はとても地味だ
私の「多重人格」は、とても地味だ。
正確な病名は、解離性同一性障害。
この病気には薬はないし、これという治療法はない。
ドラマやアニメなどの創作物、またはメディアで取り上げられるような「多重人格」は非常にドラマティック。
人格の性別年齢性格はバラバラ、ガクッと脱力してはチェンジ。
劇的ですよ、まるでキャラ設定を固めて演技をしているようだよ。
私には脱力前のアクションもないし、人格は全部「私」。
自分が何人の人格を持っているか、はっきりと把握をしていない。変わった人格が過ごした間のことや人格が交代したことを、覚えて(把握して)いる場合と、全く記憶にない場合がある。
私の副人格は全員が「私」だ。
そこには何故か確信がある。人格交代している時に名前を聞かれれば、みんな私の名前を答えるはず。
家族でもわからない、人格交代
人格が交代しても、喋り方や振る舞い自体はほぼ変わらない。
音もなく交代し、家族や恋人ですら、交代には気付かない。
「口数が少ない、機嫌悪いのかな」「よく喋るな、元気だな」「珍しいな、こんなテレビ番組見て」くらいのこと。
日常生活は問題ないし、記憶も共有しているので会話も普通に行える。
一番長く人格交代をしたのは、4日間だと思う。
解離性遁走をした時だ。その間のことは全く覚えていない。
が、その間一緒にいた私をよく知る人は、完全に「私」だったと話した。
昔の話もしたし共通の知人の話もしたという。
普通に買い物をして料理をして、好きな食べ物も同じで、真っ暗で無音にすると眠れなかったそう。「変わってないな」と思ったらしい。
だから、本当に地味な多重人格だ。
ひっそりと交代し、ひっそりと本体に戻る。
窮地に陥った際に人格の本質が現れる
副人格は、生きていくために生まれるものらしい。
私の場合もそのようだ。
何かしらのピンチに陥った際に、必要に応じた人格が出てくる。
その場を切り抜けるために取る方法が、人格によって違う。
ここが一番のポイントだ。唯一と言える違い。
逃げようとする人格、死のうとする人格、敵を排除しようとする人格。
暴走する人格を制御しようとする人格。
夏に起こった人格高速交代
去年の夏、こんなことが頻発した。
PTSDのフラッシュバックで、ある人格に交代する。
その人格は辛さから、死のうとしたり、遁走しようとする。
それを止めようとして、別の人格に交代。交代した人格は意識を主人格に戻そうとする。そのために自傷行為を行い痛みを与える。
痛みでまんまと意識が戻る。
私は家の玄関や外の道端で、身体にカッターナイフが刺さっている状態で立っている。
去年の夏は、この流れの繰り返しだった。何十回とあった。
出掛ける時に、何故かいつもカッターナイフがカバンやポケットに入っている。
気付いて捨てても、知らぬ間にどこかで買って、また忍ばせるため、途中で捨てるのはやめた。お金勿体ないし。
このように、めまぐるしく人格が変わったと思われるときは、自分に戻ってきたときに少し眩暈がしたり、頭痛が出たりはする。
状況を理解すると、どっと疲れもする。
まさに一人劇場。
勝手に嫌なことを思い出して、自分を傷付けて、疲れて、一人で傷の手当して、寝る。
静かで地味な人格交代は続く
突然身体に刃物を突き刺す行動自体はサイコだけども、静かに行われる。
人格がぐるぐる交代しているとは、他人にはわからないと思う。
幻聴は日常的に聞こえる(全部自分の声)けど、それは他人からはわからない。
派手に再発してからは、前兆として頭痛が起こることがある。これも他人にはわからない。
最近、人格交代が頻繁のようだ。ほぼ絶えず頭痛がある。
記憶の飛びはしょっちゅう。気付いたら、違う場所にいたりするのも日常。
きっとこれからも、少なくともしばらくは。
他人に気付かれることなく、人格交代は続くのだろう。
文章も書けない。何もできない。
少し疲れた。